はじめに

令和元年10月8日(火)9時より,世界初の総力型「国際サイバー防災訓練」を,「愛媛県」「インドネシア・バンダアチェ市」「Syiah Kuala University」「筑波大・富山大・京大等によるCREST CyborgCrowdプロジェクト」が共同で実施します.これは,西日本豪雨災害の経験を踏まえ,わが国を中心に世界が有する知識や技術を最大限に活用し,いかに迅速に被災状況(浸水域)を把握できるかについて,国境を越えた人とAIの共同作業により実現を目指すものです.


現在,世界レベルで大規模自然災害が多発し,数千名,数万人規模での被害が出ています.このような大規模自然災害の発生時には,国や自治体では被害状況の調査・とりまとめを進める必要がありますが,全容の把握は容易ではありません.被災地では,救命救急活動に加えて,避難生活支援,各種の被災者支援が進められており,多くのボランティアも入っている状況です.しかし,遠隔からも被災地への支援は可能です.支援の形態は,皆さんが少しずつできる作業であっても良いし,AI開発といった専門的な作業が提供できる人もいるかもしれません.愛媛県とバンダアチェ市は,共に広域な大規模災害に苦しんだ経験を持ちます.広域災害が故に被災場所の同定が困難であるとともに,状況が把握できない中で,対応力を十分に発揮できなかった過去があります.

この苦い経験を踏まえ,愛媛県とバンダアチェ市が国際連携し,迅速な被害状況把握の実現に向けた新しい防災訓練を実施します.本訓練では,両国民を中心として世界から参加者を募り,西日本大水害の航空写真に対して,人とAIの総力を結集し,迅速な浸水地域の解明に挑戦します.さらに,AIは公募型で開発したものを利用し,その可能性も追求します.

具体的には,衛星画像や航空写真から浸水状況を世界からの参加者がウェブ上で判定します.同時に,AIが判定結果を学習し,被害の全容を推定します.人が実施した判定結果とAIの推定結果を集約し,被災状況として被災地(愛媛県)にフィードバックすることで,災害対応の意思決定を迅速化します.すなわち,遠隔からの皆様の力と現代社会のAIの力を被災地のために集約し,被災地に還元する新しい支援の形となります

将来的には,これらの技術を活用し生存率が極端に下がる「72時間の壁」を突破することを目指します.ICTやAI技術を利用することにより,国境を越えて世界中の人々が遠隔で協力し合う自然災害対応が可能になりつつあります.
本防災訓練では,このような,以前は不可能であった新しい形の自然災害対応に関して,防災訓練を通じて適用可能性を検証します.

愛媛県とバンダアチェ市 

バンダアチェ市と愛媛県は共に自然災害に苦しんだという経験を共有しています.

Mobirise

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2018年西日本大水害

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2004年スマトラ沖地震津波

訓練概要

10月8日(火)未明,西日本全域において豪雨が発生し,大規模な水害が発生したという想定で,訓練が行われます.訓練において画像が入手されてタスクが配信されるのは9時半になります.タスクと共に貢献者への簡単なアンケートもございますので,ご回答いただければ助かります.

1

世界中の人々およびAIによる作業環境の構築

a) 被災地を撮影した画像(2018年西日本大水害の空撮画像) をサーバに送信します.
b) 画像を受け取ったサーバでは,入手した画像を元に,状況把握を行うための多数のタスク(小さな作業)を生成し,世界に向けて配信します.

2

世界中の人々およびAIによる作業開始・実施

a) ウェブ上に配信された作業に対して,世界中の人々が「浸水判定」を実施します.
b) 同時に,AIが画像を判別し,「浸水判定」を実施します.

3

被災地(愛媛県・バンダアチェ市)へのフィードバック

a) 人とAIの作業結果を統合し,一つの地図で表現します.また,作業の進捗やAIの関わり具合などもグラフ等で可視化します.
b) これらの地図はリアルタイムに更新され,被災地で常時,配信・映写されます.

4

被災地での活用

a) 被災地では,防災担当職員が「浸水判定結果」を踏まえ,どれほどの被害規模か,どのような対応が必要か,どれほどの対応人員・資機材が必要か等を検討します.
b) 今回は訓練なので,活用可能性について振り返り,CyborgCrowdへの期待や要望,課題を整理します.
c) 国際連携の可能性や,世界レベルでの有用性についても言及します.

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参画機関

愛媛県

インドネシア バンダ・アチェ市

Syiah Kuala University

JST-CREST CyborgCrowdプロジェクト※

※ 筑波大学,富山大学,京都大学,新潟大学,CNRS(仏国)が参加.ヤフー株式会社(Yahoo!クラウドソーシング),国土地理院,University of the Philippines Open Universityが協力.また,産総研 野田五十樹 様のアドバイスを得ております.
本実証実験は,主としてJST-CREST「人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築」領域(研究統括:萩田 紀博)の助成を受けて実施いたします.

被災状況判定タスク

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タスクでは,被災地の一部の写真を見て,その状況を4つの選択肢を用いて判定していただきます.

選択肢には,

(1)「浸水している場所はない」
(2)「全て浸水している」
(3)「一部浸水している/一部雲に覆われている/自信が無い」
(4)「全部雲に隠れて見えない」の4つがあります.

このうち,(1),(2),(4)は,画像の全ての領域がそれに当てはまっている場合のみに選択してください.

例えば,(4)「全部雲に隠れて見えない」 を選択するのは,画像が全てに雲で覆われている場合にのみ,選択してください.


画像の一部が雲であったり,一部が浸水している場合には,(3)「一部浸水している/一部雲に隠れている/自信が無い」を選択してください.

Mobirise

例えばこのような画像は,一見浸水している様に見えますが,浸水している場所と浸水していない場所が混在しています.

このような場合には(3)「一部浸水している/一部雲に隠れている/自信が無い」を選択し,(2)「全て浸水している」を選択しないようにしてください.

Mobirise

このような画像になって初めて,(2)「全て浸水している」を選択してください.

Mobirise

この画像は,雲と浸水していない場所が混在しています.

このような場合には (3)「一部浸水している/一部雲に隠れている/自信が無い」を選択します.

Mobirise

このような画像になって初めて,(4)「全部雲に隠れて見えない」を選択してください.

タスクを行うには,下記のボタンをクリックしてください.

>> 本プロジェクトへのご意見を是非お寄せください
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 MIND プロジェクトメンバー

(2019.8.11現在)(*本防災訓練システムを実装)

名前 所属 専門
*鵜尾 厚佑筑波大学情報学群クラウドソーシングとAIの研究に従事
*小林正樹筑波大学大学院博士後期課程クラウドソーシングとAIの研究に従事
井ノ口宗成富山大学自然災害対応とIT
北原格筑波大学コンピュータビジョン
小林洸陽筑波大学大学院博士前期課程コンピュータビジョンの研究に従事
宍戸英彦筑波大学コンピュータビジョン
田島敬史京都大学データ工学
田村圭子新潟大学自然災害対応
鳥屋剛毅筑波大学大学院博士後期課程コンピュータビジョンに研究に従事
Flavia Fulco東北大学自然災害復興と文化
松原正樹筑波大学認知科学,ヒューマンマシンインタラクション
森嶋厚行筑波大学クラウドソーシング・ヒューマンコンピュテーションシステム

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